空室のある物件の条件
相場よりも家賃が高い
家賃が高いか安いかは、家主ではなく入居者が判断するものです。選ぶ側の入居者は、インターネットをはじめ、情報誌や不動産業者のアドバイスなど情報源はたくさんあります。
ネットや情報誌を見て、入居者が住みたいと希望する場所や間取りを絞り込み、表示された物件を俯瞰すれば、家賃の大まかな相場は誰でも掴むことができます。
その時点で、高いと思った物件には問い合わせをしません。
つまり、問い合わせが入らない、誰も現地案内に訪れない物件は、ほとんどの場合、入居者側が家賃が高いという判断をしていると考えられます。
「建築費やリフォームにこれだけの費用がかかったから、回収の為にはこのぐらいの家賃が欲しい」「毎月のローンの支払い額以上の家賃が欲しい」といった家主の希望があったとしても、それが相場とかけ離れていれば入居者は現れません。入居者がいなければ、投資額は当然回収することができません。
設定している家賃が適正であるかどうかを把握する為にも、不動産会社や管理会社に「どのくらいの反響があるのか」「案内が行われているか」といった点を確認し、地域の実情をよく知っている管理会社と家賃設定をよく相談する必要があります。不動産仲介専門業者の場合、客付けしやすいようにと、家賃を下げることばかり提案する場合が多いですが、安易な値下げは入居者の質を落とし物件の価値を下げます。
管理上、入居者の質は落としたくないという管理会社であれば、地域の実情と家主さんの希望、そして物件の価値などを総合的に判断した上での家賃を提示するはずです。
物件をきれいにしておく
入居希望者は家賃に納得すると、物件の現地案内に行くことになります。そこで、外観が汚かったり、周辺の環境が悪かったりすると、その時点で「見送ります」ということになります。
外観をきれいにしておくと、エントランスや階段、廊下などの共用部をきれいにしておくことは鉄則です。
空室のポストにチラシがたくさん入ったままだったり、非常灯が切れていたり、窓ガラスが割れたままだったり…といった誰の目から見ても手入れができていないことが一目瞭然な荒れた感じの物件に入居を希望する人はいません。
そういう状態を承知で入居したいという人は、あまり歓迎できるタイプの入居者ではなく、家賃滞納など後々のトラブルも生じかねません。物件をいつも良い状態にしておくためにも、管理会社としっかりした契約を結び、定期清掃などをきちんとしておく必要があります。
見た目が悪い物件は、入居者が敬遠し、空室が埋まりません。当然のことといえますが、家主の中には、自分の経営する賃貸住宅が汚いということの自覚がなかったり、あっても放置している場合がとても多いのです。
管理会社の存在
不動産管理会社の存在は非常に重要です。かつては、不動産管理会社は管理が専門で、入居者の斡旋は仲介専門会社に任せて棲み分けする傾向がありました。不動産仲介を専門とする街の不動産屋さんが、家主の依頼で片手間で管理するのに対して、管理そのものに特化して品質の高い管理業務を提供しようとしたのが不動産管理専門会社です。しかし最近は、そのような考えで設立された管理会社も、空室対策に力を入れるため仲介業務にも積極的に取り組むところが増えてきています。しかし、その入居斡旋力には格差があります。その結果、入居者を決める管理会社の二極化が進んでいます。自ら仲介をするか、あるいは仲介会社への営業や提携などにより斡旋力のある管理会社に管理を委託していれば、空室を埋めるのも早いということです。
また、空室がなかなか埋まらない物件の場合、家主さんが不動産管理会社さんに仕事を任せないタイプの方であることも多いようです。不動産業者に対して仲介だけを依頼し、管理は自分でやるからいいと考える家主さんです。部屋を決めてもらった時に、家賃の1か月分又は2か月分を不動産業者に支払い、あとは自分で管理します、という管理形態を採用しているケースです。
このような一般仲介物件は、管理会社にとっては、賃貸が契約されたときの仲介手数料しか入りませんから、仲介専門会社でなく不動産管理も行う会社にとってはあまり力が入らない物件になってしまいます。管理形態の違いで不動産管理会社の収入が変わってくるのですから当然です。家主さんとの関係が強く、管理も含めたトータルでの収入がある物件を、入居希望者に優先して紹介するようになり、一過性の関係の物件は後回しにされがちなのです。